2024年6月4日(火)、元プロ野球選手の川崎憲次郎さんにIYOTOへお越しいただき、IYOTO運営元である有限会社かんながら代表取締役の大舘誠と、IYOTOの米粉パン開発者でもある中村公美さんとトークを行いました。
アスリートの観点からIYOTOの米粉パンやグルテンフリーについて様々な議論が交わされましたのでお楽しみください。
川崎憲次郎さん
大分県佐伯市出身の元プロ野球選手、野球解説者、野球指導者。現役時代はヤクルトスワローズで主力投手として活躍し、通算234試合に登板して88勝を挙げ、特に対読売ジャイアンツ戦では通算29勝を挙げた。2004年10月、現役を引退。2013年シーズンより2年間千葉ロッテマリーンズの一軍投手コーチに就任。現在は野球解説や講演の傍ら、大分県をPRする「かぼす特命大使」としても活動中。
大舘
野球やスポーツ界で米粉パンの認知度はどのような感じでしょう?
川崎さん
まだまだ米粉パン自体の認知度は高くはないと思います。その分発展の余地はありますね。
大舘
アスリートにとって食事はどのように捉えていますでしょうか?
川崎さん
もちろん、身体を作る基本なのでとても大事ですね。アスリート全員が全員食事に気をつけているかというとそうではないですが、トップ選手はやはり普段の食事から気をつけていますね。
最近はアスリートに限らず一般の方々の食事に対するこだわりも凄いですよね。私が現役の頃と比べると、なるべく添加物の無いものや体に良いものを取り入れようとする姿勢がかなり強くなったと感じます。
大舘
そうですね。私も長年飲食業に携わっているのですが、レストランなどの現場では無添加で使える食材がどうしても少ないです。特に調味料とかいろんなものが入っているから無添加は、なかなか難しいです。IYOTOはレストラン体系と異なり、なるべく無添加のもので身体によい素材を使って米粉パンを展開しているので、中村先生にもしっかりと監修して頂きながら商品を開発しています。
中村さん
アレルギーなどは遺伝性もあるのですが、何を食べるかも大事です。腸がととのっていないことから始まることがあります。
川崎さん
最近グルテンという言葉を良く聞きますけど・・・
中村さん
そうですね、グルテンの取り過ぎで腸が傷ついて異物と判断することがあります。腸が傷つかなければアレルギーは抑えることは可能です。
大舘
添加物という意味だとIYOTOはサイリウムハスクも不使用ですね。
中村さん
そうですね。まず、一般的にパンを膨らませるためにはグルテンが必要です。たんぱく質とお水と圧が加わって、たんぱく質の変性でグルテンができます。その中に空気が入ることでパンが膨らみます。しかし、そのたんぱく質が無いのが米粉。米粉でグルテンを発生させるために一般的にはオオバコを原料としたサイリウムハスクというものを使用します。これは決して悪いものという意味ではないのですが、サイリウムハスクによって膨れた米粉パンを食べるとお腹が膨れ胃にも負担がかかってしまいます。特に成長盛りの子ども達への負担も大きいです。
サイリウムハスクを使用しないことで、食べた後の心配を無くし「おにぎりと同じ物」をパンで作りたいという背景があります。サイリウムハスクは入れるといろんな米粉パンの形ができます。そうすると儲かるかもしれませんが、そこに行かずなるべく食後の負担を減らすためにサイリウムハスクは使わないというのが私のモットーです。
川崎さん
なるほど、せっかく体に良いものを食べるのですから、なるべく胃や腸への負担も少なくしたいですね。
中村さん
そうですね。私自身、米粉についてはもう15年以上研究開発をしています。どうやったら小麦粉を使わずにパンができるのか。始めは失敗ばかりでした。もともとパンは好きだったので、より健康的にパンを食べられるように始めたのが米粉パン。自分のために日々研究していました。
一つ誤解してほしくないのは、決して小麦粉を否定しているわけでは無いということです。小麦粉も大切な食品の一つです。日本は昔、小麦粉の一種である中力粉を使っていました。例えば大分だったら団子汁にも使われていますね。あれは小麦粉だから美味しいのです。そういった地元の味は大事にしたい。海外から輸入された品種改良を行っている小麦粉は美味しく簡単に作れるようにグルテンを強くしているものも多くあります。どんどんグルテンを強くすることでアレルギー反応も強くなる場合もあります。そういったリスクはなるべく避けていければというのが理想です。
川崎さん
なるほど。人口が減っている地方では人手不足もあってなかなか農業を続けるのも難しい現状もあるかと思います。それをいかにして守っていくかが課題ですね。
中村さん
そうですね。今の種を残す方法を考えないといけない。畑の問題もありますね。今私が経営しているカフェ・レストラン(Fate le Marche / ViEAT)は全て無農薬の米を使用しています。その活動は、無農薬のお米を使って農家さんを安心させることが目的のひとつです。
大舘
農家さんの立場に立ってということでしょうか。
中村さん
米農家さんは売れるかどうか分からないと農薬を使って品質を均一化させる必要があります。無農薬のお米を作り続けるには無農薬の価値で買い取ってもらえる仕組みを作る必要があるのです。私のお店は農家さんと直接契約を行っており、どれだけ完全無農薬の米が余っても全部買い取るようにしています。コストはかかりますが、子どもも安心して食べられるお米を与えたい。そこだけは譲れませんでした。なので、米を大事に、無農薬にはこだわっています。
大舘
なるほど。素晴らしい取り組みです。そういった意味ではIYOTOで使用している米粉もこだわり抜かれた米粉ですよね。完全無農薬ではありませんが、農薬は可能な限り抑えられていますね。
中村さん
そうですね。農薬という観点もそうですが、もう一つIYOTOが使っている米粉で大事なことは「普通の米から作った米粉を使っている」ということです。昨今米粉パン専用の米粉は多数あります。米粉パン用の米粉はパンを作るのが簡単になりますが、米粉本来の味に乏しい部分があります。IYOTOのパンが惜しいのは普通のお米から作った米粉を作っているから、米本来の甘みや味わいが生み出せます。
また基本的に米粉パン専用の米粉はそれらを焚いて食べることができません。例えば災害があった時はパンなんて焼かきません。ちゃんと災害時でも焚いて食べられる普通の米を使うのが使命です。いつでも米として使えるように。そのため米粉パン用の米は使わず普通の米を使うのがこだわりなのです。
川崎さん
素晴らしい。私も普段食に関する話をすることが好きなので大変興味深いです。尚更担い手、人材不足を何としたいですね。
中村さん
はい。やはり稼げて安定性がある仕事でないとなかなか若い人が定住しづらいです。日本で自給100%可能なのは米だけ。それが無くなると全て輸入に頼らなくてはならなくなる。将来的には学校の給食に米粉パン導入することが目標でもあります。半分米粉パン、半分米飯。やはり子供には安心して食べられるものを提供したいです。
川崎さん
今後は米粉パンを広げるための施策を考えていきたいですね。何かテーマを考えてやった方がいいですね。野球の事考えるより面白いかもしれません(笑)フランチャイズ展開などはしないのですか?
大舘
まだフランチャイズまでは考えていないですね。まずは店舗と通販と外販で伸ばしていきたい。お客さんとお店と両方育っていかなければフランチャイズは難しいです。
川崎さん
せっかくだから野球選手やアスリート向けに展開できるテーマがあるといいですね。野球でしたら野球教室などで子どもたちを通して親御さんにも興味を持ってもらえるかもしれません。子どもに安心して食べてもらいたいとうテーマにも沿っていると思います。
中村さん
そうですね。最近はスポーツクやっている子供の親御さんからグルテンフリーにしたいという相談も多いです。まず腸が綺麗になるので、体調や精神状態も改善され怪我や故障の防止にも一役買うことができると思います。
川崎さん
食で改善されるのであればそれが一番良いですね。
中村さん
全てを除外するのではなく、例えば今まで小麦粉を使っていた食材の半分を米粉にしてみるなどすると少しずつ自分の身体が少しずつ変わってくるのが分かります。そうすると子ども達も自分自身でもっといい食生活を送ろうという向上心が生まれます。米粉が直接的な改善要因というわけではなく、子供たちにとって食を大事にする気持ちや食生活の改善の第一歩になれればよいと思います。
川崎さん
そうですね。食事は体をつくる基本中の基本。
中村さん
続けるためには気軽に手に入るのが条件。そこをどうクリアするかですね。たとえばいかに親御さんが手軽に作れるようにするかなど。今はネットで情報が色々手に入るので、食を大事にしている親御さんも多いですので親御さんの安心感も大事ですね。
大舘
そうですね。子供にも安心して食べさせられるというのがIYOTOのこだわりでもあるので、その柱を忘れずに今後更に米粉商品を展開していけたらと思います。今回川崎さんや中村さんとじっくり話すことで改めてIYOTOの使命を落とし込むことができました。これからも是非よろしくお願いします。本日はありがとうございました!